「星を継ぐもの」を読んだ。
生物学者のオッサンが最後の最後で投げかけた疑問、
「起源を同じくするって言っても、 5 万年も別環境に隔離されたら、さすがに何か違いが出るんとちゃうん?」
ってのが、そこまで本作を読み進める中でずっと引っかかっていた疑問と一緒で、ちゃんとそれが解決されたので満足した。
今書いてて思ったんだけど、最初に地球にやってきたルナリアンは、どうして文字をどこかにやってしまったんだろう。つまり、地球にやってきた時点でルナリアン語とその文字を持っていたのに、なぜ現代のハントたちによって「古代文明」という形で観測される何かを何も残さなかったのか。例えば石版とか。
もし自分がルナリアンだったとしたら、遠い星から来たことを示す象形文字と一緒に、ルナリアン語をどこかに彫りまくると思う。かつて誰もしたことのない経験を通して地球にやって来て、なおもそこは氷河期という過酷な環境だった。ずっと死の危険と隣り合わせだったろう。物語の最初に月面で発見されたルナリアンが最期まで手記をしたためていたことを考えても、石版彫るしかねーっしょ、やっぱり。
もし我々が史実として考えるように、同時多発的に文字が発明されたのであれば、その一つが天変地異などによって丸ごと消えてもおかしいとは思えない。しかし、本作においては、ルナリアンは地球に降り立った時点で文字を獲得しており、そこから世界中に拡散していって我々ホモ・サピエンスになったってことになってる。だとしたら、古代文字の◯◯と似ている、みたいな描写が無いとおかしいことになるけど、そうしたものはない。
って、一瞬で感想書き終わるかと思ったら、結構書くことあったな。うん、十分に読み応えのある作品だった。
J.P.ホーガンめっちゃ面白いよねぇ~。
夏に亡くなったから、今後は新作読めなくて残念だ。
「星を継ぐもの」は一番最初に読んだ作品だから内容細かく覚えてないなぁ。
これ三部作だから続きを読むのが楽しみだね。
巨人三部作以外で特に好きなのは、「ライフメーカー」シリーズ 、未来の二つの顔、仮想空間計画かな。
この手のハードSFはエンジニアなら思わずニヤニヤしながら読んでしまう。
他にも、アイザック・アシモフの有名なロボット物、鈴木光司の「リング」「らせん」シリーズ(ホラーからSFに展開する)も読んだことなければ要チェキ!
ええ、続編は年末年始にでも読もうかと思って、あとは届くのを待つだけです。
「リング」「らせん」はブームの時に読みました。
完全なネタバレ。
近未来、月面で宇宙服を着たまま 5 万年前に死んだ男「チャーリー」が発見される。現代の我々と寸分たがわぬ身体的特徴をもつ彼はどこから来たのか。世界中に一大センセーションを巻き起こし、その謎を解決すべく各方面の学者が結集し、自身も物理学博士である主人公ハントはその取りまとめ役に任命される。
多方面からの調査が進むに連れて様々な矛盾が浮かび上がるが、膨大な調査と推論を通して、ハントらは全ての矛盾を説明可能なある仮説にたどり着いた。
2500 万年前に、恒星間飛行を可能とする高度な文明の痕跡を木製の衛星ガニメデに残したガニメアン。彼らはかつて地球と火星の間に存在した太陽系惑星ミネルヴァで独自に進化したが、何らかの原因でミネルヴァの大気の二酸化炭素濃度が上昇し、それに耐性のないガニメアンたちには住むことができない世界になりつつあった。
ガニメアンはそれを食い止めるため地球から動植物を持ち帰ったが、その中に我々の祖先の猿がいた。結局試みは失敗し、ガニメアンは別の惑星へと旅立ち、残された猿は進化を遂げ、今の我々と寸分たがわぬ姿のルナリアンとなった。
そして 5 万年前、太陽系を氷河期が襲い、氷の惑星になりつつあったミネルヴァでは、少ない資源をめぐってルナリアン同士の戦争が勃発する。その戦争で、チャーリーらはミネルヴァの衛星である「月」から大量破壊兵器を用いて、ミネルヴァにある敵陣営を攻撃する任にあたっていた。
戦争は苛烈を極め、最終的にミネルヴァは跡形もなく爆発してしまう。これに巻き込まれたチャーリーは、月面で宇宙服姿で息途絶えることとなる。
そして、この出来事が元でミネルヴァの衛星であった「月」は、今日の地球の衛星として獲得されることになる。
月面で帰るべき故郷を失いつつも生き残ったルナリアンたちは、ジリ貧を選ぶこと無く、そこから地球に降り立つことを選んだ。
結果、地球で進化を遂げた類人猿は数段進んだ文明を持つルナリアンたちに滅ぼされ、ついにはルナリアンは我々ホモ・サピエンスになった。